お知らせ
再生可能エネルギー未来への投資 再エネ賦課金とは?
2023/11/16
みなさんは「再エネ賦課金」という言葉を聞いたことがありますでしょうか。
電気料金の高騰により、電気料金の明細書をチェックした時に「再エネ賦課金」という聞き慣れない項目があることに気がついたという方もいるかもしれません。
実はこの「再エネ賦課金」とは再生可能エネルギーを安定的に一定価格で買い取るために、日本独自の政策の一環として2012年より導入されていて、多くの人は毎月1000円くらいの賦課金を納めています。
この再エネ賦課金システムの仕組みはなかなか理解しづらい部分がある上、私たちの電気代に上乗せされていることから負担に感じる人も少なくありません。
そこで、今回は「再エネ賦課金」についてメリット、デメリットを含めて解説し、このシステムが持続可能なエネルギーの未来に向けて何を期待できるのか探っていきたいと思います。
再エネ賦課金(再生可能エネルギー発電促進賦課金)とは
太陽光や風力発電などの再生可能エネルギーの普及を目指す取り組みは世界的にも加速し、環境への負荷が少ないエネルギーとして注目されています。
日本においてもそれは例外ではなく、再生可能エネルギーの利用を促進するために様々な施策に取り組んでいます。
ですが、再生可能エネルギーである太陽光や風力、地熱などの発電は環境に優しいエネルギーである一方、発電事業を行うためには膨大な費用が必要です。
そこで、日本では再生可能エネルギーの事業者を支援する仕組みの1つとして「再エネ賦課金」システムを導入しました。
・電気利用者全員
・全国一律の価格
というルールの元、経済産業大臣が毎年度価格を定められています。「再エネ賦課金」は再生可能エネルギー導入を促進するための重要な制度として位置付けられ、電力の安定供給を支援するための財源として欠かせないものになっています。
再エネ賦課金とFIT制度
FIT制度(固定価格買取制度)とは、政府が再生可能エネルギーで生成された電力を固定価格で一定期間買い取ることを保証するという制度です。この制度により経済的な保証という基盤がある安心感から、再生可能エネルギー事業の新しいプロジェクトへの投資が促進されました。
また、再生可能エネルギーの普及が進むための財政的な基盤が必要となります。その財政的な基盤となるのが再エネ賦課金です。
つまり、FIT制度は再生可能エネルギーの発展を促し、再エネ賦課金はその財政的なサポート役となり、この2つのシステムはお互いに補完し合う関係にあります。
再エネ賦課金のメリット
①エネルギー自給率の向上
再生可能エネルギーは国内の自然資源により発電することができるため、エネルギーの自給率向上が期待できます。
実は、2023年時点の日本のエネルギー自給率は約10%前後しかありません。日本では国内で利用可能な天然資源が限られており、化石燃料に関してはほとんどを輸入に頼っていることが自給率の低さの要因です。
そのため、輸出国の政治的・経済的な問題や国際的関係の悪化などがエネルギーの配給や価格に直接影響を及ぼす可能性があり、さらに化石燃料への依存し続けることで、温室効果ガスの排出量の増加に繋がり、環境への悪影響が大きくなります。
「再エネ賦課金」によって再生可能エネルギーを積極的に活用することができると、結果的にエネルギー自給率が向上に繋がり、持続可能な社会の実現に貢献することができます。
②電気料金の価格安定
再生エネルギーは導入のための初期投資は大きいものの、太陽や風、水の流れといった自然現象を利用するため燃料費がほとんどかからないため、長期的には燃料コストを大幅に削減する可能性があります。また、再生可能エネルギーのコストは主に設備の建設と維持管理費にかかっているのですが、比較的簡単に今後かかるコストの計画を立てることが可能です。
さらに、過去数十年で太陽光パネルや風力発電のタービンのコストは大幅に減少し、今後も技術の進化によって、様々な部分でコストダウンすることが予想されます。
「再エネ賦課金」によって、再生可能エネルギー市場の成長を促進することで、価格が不安定な化石燃料に依存することなく電気料金の価格安定化を実現することが期待されます。
再エネ賦課金のデメリット
①電気料金の増加
「再エネ賦課金」は一般の消費者に電気料金を上乗せすることで徴収されます。この費用は電力会社の利益になることはなく、再生可能エネルギーの普及に使用されるのですが、家計にとっては直接的な負担となります。
このところ電気料金の高騰は社会問題となっており、経済的に厳しい状況にある家庭にとっては「再エネ賦課金」は重い負担になる可能性があります。
②市場の歪み
「再エネ賦課金」は太陽光や風力などの特定の技術に対して、特定技術の優遇になるような補助を提供することがあり市場の歪みが生じてしまいます。市場に偏りが生じると新規参入社が市場に参入しにくくなる可能性があります。
既存の事業者のみになってしまうと、価格競争や技術競争が生まれにくい環境となってしまい、新しい技術の開発や価格低下などが抑制されてしまいます。
③エネルギー発電量の不安定さ
たとえば、太陽光発電は日中しか発電できず、曇りや雨の日には発電量が低下してしまいます。また、風力発電も風の強さによって発電量が変わってきます。
このようなことから、再生可能エネルギーはエネルギーの発電量を正確に予想することが難しいため、エネルギー共有の安定性を維持するためには蓄電池などのエネルギー貯蔵システムや、予備の発電システムが必要です。
このようなシステムは導入に追加のコストがかかり「再エネ賦課金」の財源に影響を及ぼす可能性があります。
まとめ
「再エネ賦課金」について理解を深めることは1人1人が持続可能なエネルギーの未来に向けて貢献することに繋がります。
しかし、まだ「再エネ賦課金」にはデメリットや課題がたくさんあるのは事実です。しかし、「再エネ賦課金」により、再生可能エネルギーに投資されることでより多くのクリーンエネルギーが利用されるようになります。
また、日本のようにエネルギー資源が少ない国にとっては国内で生成できる再生可能エネルギーに力を入れることは必要となってきています。今後、再生可能エネルギー産業はますます成長を遂げ、新しい雇用機会やビジネスチャンスを生み出し、国内の経済成長にも貢献しています。
「再エネ賦課金」は電気利用者全員が負担する費用であり、将来に向けてよりクリーンで安全なエネルギー供給を実現するために使用されています。
ぜひ、「再エネ賦課金」について正しく理解し、持続可能な未来への投資として社会全体で支えていきましょう。