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COP28について
2023/12/15
異常気象や温暖化など地球規模で環境問題が深刻となってきている今、気候変動に対処するための国際的な取り組みとして「COP」が開催されています。
28回目の今回は、2023年11月30〜12月12日の期間でアラブ主張国連邦(UAE)のドバイで行われ、会場では参加国などによるパビリオンでは日本の企業も多く出展しました。
ですが、具体的に「何を議論しているの?」「そもそもCOPとは?」など、よくわからないと思われている方も多いのではないでしょうか。
そこで、今回は今注目のCOP28について深掘りして解説してみたいと思います!
COPとは?
COPの基本情報
COPは国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)で開催される、年次会議のことです。この会議では、世界各国が地球環境の保全と持続可能な発展を目指すために話し合い、具体的な行動計画を策定します。
COPの歴史
COPの始まりは1992年に遡ります。1992年にリオデジャネイロの地球サミットで国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)が採択され、条約の実施に関する詳細を話し合い、具体的な行動を決定するための定期会議を設置することになりました。
そして、これにより1995年にドイツのボンで初めてCOPが開催されました。
その後、COPは毎年開催され、1997年には京都議定書、2015年にはパリ協定など、気候変動対策における重要な国際合意を生み出してきました。
COP28の主要テーマ
それでは、2023年に開催されるCOP28ではどのような議題で話し合いが行われるのでしょうか?いくつか具体例をみていきましょう。
①温室効果ガス削減目標(NDCs)の更新
各国が設定した温室効果ガスの削減目標(NDCs)の進捗を評価することは重大な議題の1つです。特に、2015年にパリ協定で定められた「世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2度よりも十分低く保ち、1.5度に抑える努力を追求する」という世界共通の長期目標達成に向けた努力が焦点となります。
ですが、地球温暖化の現状はより一層深刻になってきています。
2021年には「世界の平均気温は産業革命以前に比べて1.09度上昇しており、その理由が人間活動の影響であることは疑う余地がない」とされ、目標達成には国際社会はより一層の努力が必要であることを再認識しました。
また、COP26では「気温上昇を1.5度に制限するための努力を継続することを決意する」として「-1.5度の約束」と言われる「グラスゴー気候合意」が採択されました。
そして、COP28では全ての締約国が2030年に「1.5度目標」を達成するために具体的に再生可能エネルギーへの以降、エネルギー効率の向上、持続可能な交通システムへの投資などが含まれた行動計画の策定が予定されています。
②グローバル・ストックテイク
COP28で特に注目されるテーマが「グローバル・ストックテイク(GST)」です。グローバル・ストックテイクとは、パリ協定の下で5年ごとに実施される全ての締約国の温室効果ガス削減の進捗状況を評価するプロセスです。今回のCOP28では、第1回のグローバル・ストックテイクが行われ、以降5年ごとに実施することとされています。
グローバル・ストックテイク3つのステップ
1.情報収集と準備各国から気候変動対策に関する温室効果ガスの排出削減目標、達成状況、対策の効果、途上国への支援の状況などが含まれた、詳細なデータや情報が収集されます。
2.技術的評価
収集された情報に基づいて、各国の代表者、科学者など専門家による対話によって、共有された情報を元に議論が行われ、技術的評価が行われます。
3.政治的対話
最終段階では、技術的評価の結果を踏まえ、政治レベルでの議論が行われます。
COP28では今後の気候変動対策の強化に向けてどのような政治的なメッセージが打ち出されるかが注目されています。
③途上国への支援
途上国は干ばつや香水などの気候変動の影響を受けやすい立場にありながら、対策をするための資源が限られているため、国際社会からの支援が不可欠です。
COP28でも、これらの国々への具体的な支援策や資金調達などについて話し合いのテーマとなり、気候変動で生じる途上国の「損失と損害」を救済する基金の運用方針が採択されました。日本からは基金設立のため1000万ドル(約15億円)、議長国のUAEは1億ドル(約150億円)を拠出すると発表されました。
④持続可能な開発目標(SDGs)との整合性
持続可能な開発目標(SDGs)とは、2015年に採択され、2030年までの持続可能な開発のため「貧困をなくそう」「質の高い教育をみんなに」「人や国の不平等をなくそう」など具体的な17の目標から構成されています。COP28では再生可能エネルギー源への移行が重要なテーマです。太陽光発電や風力発電などのクリーンエネルギー技術の普及は温室効果ガス排出量の削減につながるため、国際社会が統合的なアプローチを取る必要があります。
⑤気候変動適応策
地球温暖化による影響に対処し、コミュニティのレジリエンスを高めるための戦略と具体的な行動計画に焦点を当てて議論されます。気候変動に対する適応策として、防災対策を含む持続可能なインフラの構築や気候変動に強い農業技術の開発などが重要視されています。そして、国家レベルでの気候変動適応策の策定と実施には資金調達と国際協力が不可欠です。
⑥新技術とイノベーション
気候変動対策を進めるためには新技術とイノベーションに関するテーマは欠かすことはできません。具体的には再生可能エネルギー技術、家庭や企業で使う電気の効率を良くする技術、スマートシティと交通などについて、どのように開発され、普及するのかについて議論されます。特に、炭素回収技術(CCS)の開発は、すでに大気中に放出されたに参加炭素を減らすための大きな希望になっています。
また、電気自動車や自動運転の導入は交通システムを効率化し、排出量を削減します。
このように最新技術は持続可能な社会の構築の希望の光となっているのです。
まとめ
COP28は気候変動に対する世界の取り組みを次の段階へと進める重要な会議です。
この会議を通じて、私たちは地球温暖化の進行を抑制し、より良い未来を築くための重要な1歩を踏み出すことができます。
また、COP28は「点」で終わるのではなく、「線」として続いていきます。初めて開催されたCOPから来年開催予定のCOP29に至るまで、気候変動対策の進展という長い道のりの一部なのです。
COP28が終わった後も、各国は合意した行動計画を実行に移し、次回のCOPに向けてさらなる進歩を目指すことが期待されます。
私たち一人ひとりの力は小さいかもしれませんが、日々の積み重ねが私たちの未来を守る大きな力となります。
COP28をきっかけに、地球温暖化の進行を防ぎ、公正で平等な未来への道を共に築いていきましょう。