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電気の定期点検の大切さ
2024/02/21
電気は現代社会に欠かせないアイテムですが、その供給を維持するための電気設備は時間の経過とともに劣化してしまいます。
設備が劣化してしまうと、性能の低下や故障だけではなく、重大な事故のリスクを高める可能性があります。
そのリスクを避けるためにも、電気の定期点検は非常に重要なのです。
今回のコラムでは、電気の定期点検の必要性や点検の種類についてクローズアップしていきたいと思います!
電気点検の必要性
・電気保安点検業務とは?
電気保安点検業務は、電気設備の安全性と信頼性を確保するために不可欠なプロセスです。これは電気事業法によっても規定されており、電気の生成、送配電、および配給に関する事業活動を規制することにより、公共の安全と利益を守ることを目的としています。また、ソーラーパネル発電なども対象なので、幅広い事業者が電気保安点検業務を行うことが義務付けられています。
・安全性や効率性の確保
電気設備は時間の経過とともに絶縁の劣化、接続部の緩み、腐食など、見た目にはわかりにくい部分の問題が徐々に生じ、これらが放置されたままになると大規模な故障や事故につながる危険性があります。そのためにも、電気保安点検を定期的に実施することが重要であり、点検をすることによってこれらの問題を早期に発見することが必要不可欠です。
また、劣化した電気設備は性能が低下し、エネルギー効率が悪化することがあります。点検によって問題を早期に発見し、必要な調整や部品交換を行うことで、設備の効率を向上させ、エネルギーコストの節約にも貢献することができます。
・点検記録の重要性
電気保安点検業務における点検時の記録は、電気設備の安全性と正常な運用体制を確保するための重要なプロセスです。これらの記録は
・点検の実施内容
・発見された問題
・修理メンテナンスの状況
・電気設備の状態
などの情報が蓄積されることによって、万が一、重大な故障や事故が発生してしまった場合でも点検時の記録が迅速に対策を立てるための重要な情報源となります。
また、将来の修理修繕計画を立てる際のデータとしても活用できるので、各事業所は点検記録を適切に整理し、安全に保管する必要があります。
電気保安点検のプロセス
電気保安点検の一般的なプロセスは「準備→実施→記録→報告→フォローアップ」のステップで構成されています。点検の範囲は視覚的な検査から、電気的特性を測定するテストなど多岐に渡っています。
・視覚的検査
視覚的検査は、電気設備やシステムを目で見てチェックする最も基本的な点検です。私たちは家庭内で電気コンセントやスイッチ、コードなどをみて、黒ずみや焦げ跡がないかを無意識のうちにチェックを行っていますよね。
事業者の電気設備においては、検査箇所をチェックリスト化し設備の外観などを目で見てチェックしています。
それでは、検査箇所の具体例をいくつか紹介します。
・電線とケーブルの検査
電線やケーブルの外皮に亀裂、損傷、剥がれがないか、電線が適切に固定されているか、熱源や鋭利な物体に接触しないかなどを確認します。損傷は絶縁不良や短絡の原因となり、不適切な配置は電線の損傷や火災のリスクを高める可能性があります。
・コンセントスイッチの検査
コンセントやスイッチのプレートに亀裂や焦げ跡がないか、コンセントの接続部が緩んでいないか、スイッチが適切に作動するかを確認します。焦げ跡は過剰な熱が発生している可能性を示唆し、機能不全は安全な運用に影響します。
・配電盤とブレーカーの検査
配電盤の扉が正しく閉まっているか、ブレーカーに損傷や異常な熱の兆候がないか、ブレーカーのラベルが正確であり、全てのカイロが明確に識別できるかを確認します。配電盤やブレーカーが正しく機能していなかったり、明確に識別できないと緊急時の対応を遅らせるリスクがあります。
・照明設備の検査
照明器具が適切に取り付けられ、損傷がないか、正常に点灯し、過剰なちらつきや異常音などがないかをチェックします。異常があった場合は、配線の問題や器具の故障の可能性があります。
機能テスト
電気保安点検における機能テストは、電気設備やシステムが設計通りに正しく機能しているかを確認します。このテストを通じて、潜在的な障害や性能の低下が発見されることで、事故を未然に防ぐことにつながります。
それでは、機能テストの具体例をいくつか紹介します。
・漏電ブレーカーのテスト
漏電ブレーカーとは、漏電を検知し自動的に電源を遮断することで安全性を保証する装置です。点検では、テストボタンを使用して漏電ブレーカーが正常に動作するかどうかの確認を行います。・緊急停止装置の検証
工場や大型の機械には緊急時に設備をストップすることができる緊急停止装置が設置されています。これらのボタンが正常に作動しないと、緊急時に作業員の安全が脅かされる危険性があります。そのため、点検では緊急停止ボタンを実際に押して、全ての機会が即座に停止されるかを確認する必要があります。
・照明システムのチェック
施設の照明システムが適切に機能しているかのチェックを定期的に行う必要があります。照明制御スイッチや自動センサーが正しく動作し、必要な場所が適切に照らされているかを確認し、非常灯が停電時に自動的に点灯するかどうかのテストを行います。・電力配給システムの確認
緊急時や停電時に重要な役割を果たす発電機や無停電電源装置などの電力配給システムは、普段は作動していないため、点検時にはしっかりチェックする必要があります。これらのシステムが予期せぬ電力供給中断時に自動的に作動し、重要な設備に対して電力を連続して配給できるかの確認を行います。
・換気、空調システムのチェック
換気、暖房、冷房などの空調システムは、建物内の快適な環境を維持するために必要不可欠です。温度調節が適切に行われているか、全ての換気ダクトから適切な空気の流れがあるか、フィルターが詰まっていないか、異音が発生していないかなど、あらゆる角度からチェックします。
点検のメリット・デメリット
メリット
①安全性の向上電気保安点検の最大のメリットは、電気設備やシステムからの安全上のリスクを減らすことができることです。定期点検をすることで、事前に故障や不具合を把握することができ、早期に原因を発見し、修正することができます。
②コスト削減
定期点検を行うことで、初期に問題を発見することができ、設備自体のシステムを止める場合ダウンタイムを減少させることができるので、結果的にコストの削減を行うことができます。
デメリット
①専門知識の必要性
効果的な電気保安点検を行うには、高度な専門知識と経験が必要です。そのため、技術者の確保や、後継者の育成など教育面での問題を抱える事業者もいます。
また、知識不足な担当者による不適切な点検を実施し、問題を見逃す可能性もあるため、人材育成は大きな課題となっています。
②点検への依存心
定期的な点検を行うことで、日々の業務内での点検やチェックが疎かになる場合があります。点検に依存してしまうと、もっと早く気づくことができた問題も放置されてしまうことになります。
定期的な電気保安点検はあくまでセーフティーネットとして考え、日々の業務内で見つけられる故障や異常はしっかりとチェックする習慣をつけることが重要です。
まとめ
定期的な点検をすることは、人材の確保や、時間の確保など各事業者で課題に感じているところも多いかもしれませんが、結果的には電気保安点検は、電気設備の安全性と機能性を確保し、事故や障害を未然に防ぐために必要不可欠なプロセスです。安全性と効率性を確保することで、エネルギーコストを削減することができ、環境への影響を最小限に抑えることができます。
ぜひ、その重要性を理解し短期的な負担に目を向けるのではなく、長期的に考えた時に得られるメリットに目を向けてみてくださいね。