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法人の電気代を安くする方法は?
2024/04/17
現代のビジネスにおいてコスト削減は永遠のテーマです。とりわけエネルギーコストは近年、すごいスピードで上昇し続けています。
特に電気代はオフィス、工場、店舗など経営する上で避けることができないため、業種を問わず削減可能な領域として大きな潜在力を秘めています。
では、法人の電気代を安くするにはどうすれば良いのでしょうか?
今回のコラムでは具体的な方法を紹介しながら、エネルギーコスト削減の手段を探っていきましょう!
エネルギーマネジメントシステム(EMS)の導入
エネルギーマネジメントシステム(以下:EMS)の導入は企業が直面するエネルギーコストの削減と環境への配慮という二つの重要な課題に対応する有効な手段です。
EMSとは、企業や施設のエネルギー使用を効率的に管理し、最適化するためのシステムのことです。このシステムはエネルギー消費の最適化を通じて経営的なメリットを提供します。EMSによるコスト削減の具体例
①ピーク需要の管理
電力料金は使用する時間帯によって異なることが多く、特に電力のピーク需要時には料金が高くなる傾向にあります。EMSを導入することで企業がどの時間帯に最も多く電力を使用するかを正確に把握し、不要な機器の稼働を制限することでピークカットを実現することができます。
例えば、製造業では生産ラインの運転に大量の電力を使用しており、特に昼間のピーク時間帯に電力消費量が増加する傾向にあります。EMSを利用することで高エネルギーを要するプロセスをピーク時間帯以外に移行し、ピーク時間帯にはエネルギー消費が少ない作業に注力するスケジュール調整を行うことで、電力コストの削減に成功しています。
②エネルギー使用効率の改善
EMSを導入すると、エネルギー使用の効率化を図ることができるため、不効率な機器やプロセスを特定することができます。監視と分析を通じて、エネルギー効率が悪い古い空調システムを見つけることができ、より効率的なシステムへの置き換えや運用時間の調整を行うことが可能なので、長期的にエネルギーコストを削減することができます。例えば、都市部の大規模オフィスビルでは、EMSを利用して空調システムや照明の運用を自動的に最適化しています。ピーク時間帯に自動的に室温設定を1度上げることや、使用されていないスペースの照明の消灯などエネルギー消費を効果的に削減しています。
③予防保全による機器の運用コスト削減
機器のパフォーマンス監視による予防保全もEMSの重要な機能です。機器をリアルタイムで監視することで機器の劣化や異常を早期発見することができ、小さな修理で済むうちに対処することが可能です。例えば、製造工場では生産ラインの各機器の動作データを監視することでモーターやポンプなどの重要な機器の温度、振動、電力消費量をリアルタイムで分析し、異常パターンを早期に検出することができます。これにより、機器の故障を未然に防ぐことができ、生産ラインの停止を避けることができます。
再生可能エネルギーの活用
再生可能エネルギーの活用は企業にとって経済的なメリットをもたらすだけでなく、環境への貢献や企業イメージの向上にも繋がります。
再生可能エネルギーによるコスト削減の具体例
①太陽光発電の導入
太陽光発電の導入は企業自らが直接電力を生成し、使用することができるので購入電力量の削減に直結し長期的に電力コストを大幅に低減させます。工場の屋根に太陽光パネルを設置した場合、日中のピーク時には自社で作り出した電力を供給し、余剰電力は電力会社に売電することができます。初期投資にはコストがかかりますが、日照条件の良い地域ではより顕著な効果があらわれ、純粋なコスト削減効果を生み出します。
②風力発電の導入
風力発電は風の力を利用して電力を生成する再生可能エネルギーです。発電所の建設にはタービンの製造と設置にかかる初期投資が必要ですが、燃料費がかからないため稼働後の運用コストは比較的低いことが特徴です。
太陽光発電と違って太陽が出ていない夜間でも発電が可能なため、夜間の追加の電力源となりエネルギーコストの削減につながります。
③バイオマスエネルギーによる廃棄物処理コストの削減
バイオマスエネルギーとは、有機資源からエネルギーを生成する方法で持続可能なエネルギー供給の実現と廃棄物問題の解決に貢献します。最近では、下水処理施設では処理過程で発生する下水汚泥をバイオマスエネルギーへと転換する技術が注目されています。
下水の汚泥を処理することでバイオガスを生成し施設内のエネルギーに賄うことができます。
社員の意識改革
電力コストを抑えるためには、社員一人ひとりがエネルギー使用に対する意識をもち、節電行動を日常的に実践することが長期目線で考えるととても重要になってきます。
節電意識の定着
電気代削減のための社員教育で重要なことは「節電意識の定着」です。いくら最新の機器を導入したといっても、それを使用する社員の意識が節電に全く向いていないと、解決するべき課題を見過ごすだけでなく、電力の無駄遣いをし続けることにつながります。
例えば、不使用の機器はこまめに電源をきる、昼休みにはパソコンをスリープモードにする、適切な室温設定を設定するなど、社員個人でもできる節電行動の推奨をするためにチェックリストの作成やポスター掲示など理解しやすい工夫が大切です。
具体的な指導
社員に対して「節電しましょう」と伝えるだけでは不十分です。より具体的に節電の指導が必要となってきます。例えば、定期的なワークショップセミナーを開催し、節電に関するアイディアを募集し、実行可能なものは積極的に採用することで社員の参加意識と責任感を高めていきます。
評価とフィードバック
社員の節電行動の取り組みに対して評価とフィードバックを行うことはとても有効な手段です。例えば、エネルギー使用量のモニタリングを行い、節電効果がみられた部署やチームに対して表彰や報酬を与えることで、モチベーションの維持を測ることができます。また、その成果を社内に発表することでお互いに節電に対する成功体験を共有することができ、社員間で良い循環が生まれます。
電気代を抑えて、持続可能な社会の実現へ
持続可能な社会の実現には、企業のエネルギー使用に対する意識改革が不可欠です。
電気代を安く抑えることは経費削減に寄与するだけでなく、エネルギー使用の効率化を通じて二酸化炭素排出量を削減することができ、持続可能な社会の実現に貢献することができます。
企業全体で省エネルギー化に取り組むことで、社員一人ひとりの意識改革も同時に行うことができ、家庭内での省エネ意識の高まりにもつながります。
近年、環境により負荷をかけず電力コストを抑えるための技術が次々に開発されています。
しっかりとその最新技術にアンテナをはって情報収集することも大切なことなので、ぜひ「電気代を抑えるため」でなく持続可能な社会の実現にもつながる施策として考えてみてください。