お知らせ
GXと企業事例
2024/09/25
地球温暖化や気候変動の影響がますます現実のものとなる中、企業は単に利益を追求するだけではなく、地球環境との共存を模索し始めています。
そんな中、注目を集めているのが「グリーントランスフォーメーション(GX)」です。
GXは単なるエコ活動だけでなく、企業のビジネスモデルや産業構造そのものを大きく変革し、環境と経済の両立を目指す壮大な取り組みです。
では、どのような企業がGXを実践しているのでしょうか?
GXの重要性と革新性を具体例を交えてご紹介いたします。
GXの背景と必要性
気候変動は今や地球規模の危機となり、私たちの日常生活や経済活動にも大きな影響を与え始めています。極端な気象現象、例えば異常な猛暑や豪雨、干ばつといった自然災害が増加しており、これらは農業やエネルギー供給、さらには人々の健康にまで影響を及ぼすようになってきました。
そのため、企業にとって気候変動問題への対応は、環境への配慮というだけでなく、事業の持続可能性を左右する重要な課題となっています。
そんな課題に立ち向かうために、企業は「GX(グリーントランスフォーメーション)」という取り組みを進めてきました。
なぜ、GXを取り入れることが必要なのかというと、気候変動の主な原因が私たちが使うエネルギーにあるからです。
企業は製品を作るときに多くのエネルギーを使うのでCO2を減らす取り組みが必要です。
例えば、工場で使うエネルギーを太陽光や風力といった再生可能エネルギーに変えることができます。また、製品を作る過程で無駄なエネルギーを使わないように効率的な方法を導入したり、リサイクルできる素材を使ったりすることで環境に優しいビジネスを実現することができます。
一方で、こうした環境対策を進めることは、企業の新たな競争力を獲得することとつながってきます。
持続可能なビジネスモデルは、消費者や投資家からの信頼を高める要素となり、長期的には企業のブランド価値や市場シェアの向上に貢献します。
近年、環境意識の高い消費者が増えており、製品やサービスを選ぶ際に「エコ」や「サステナビリティ」といった要素を重視する傾向が強まっています。
このように環境問題の解決に向けた重要なステップであると同時に企業が社会に貢献しながら持続可能な未来を築くための鍵となっているため、その対策を進める責任があることが多くの企業がGXを取り入れる背景なのです。
企業事例
■トヨタ自動車のカーボンニュートラルへの挑戦
トヨタ自動車は、世界的な自動車メーカーとして、「2040年までに全ての自動車をカードンニュートラルにする」という目標を掲げ、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを積極的に進めています。
製品の製造や使用において排出されるCO2を実質的にゼロにするために、トヨタではさまざまな技術革新や新しいエネルギー源の導入を進めています。
まず、特に力を入れているのがハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)の普及です。ハイブリッド車は、ガソリンエンジンと電動モーターの両方を組み合わせて燃料を向上させ、CO2排出を削減する技術を備えています。トヨタは1997年に世界初の量産ハイブリッド車「プリウス」を発売以来、この分野でリーダーシップを発揮してきました。一方電気自動車(EV)市場が拡大するにつれて、積極的にこの分野の開発を続けています。
また、水素燃料電池車(FCV)という水素を燃料にして発電し、その電力でモーターを駆動するため、CO2を全く排出しない究極のクリーンエネルギー車の開発にも注力しています。2014年には世界初の量産燃料電池車である「MIRAI」を発売し、水素社会の実現に向けた取り組みを進めています。
さらに、車両だけでなく製造過程においてもカーボンニュートラルの実現に向け、工場でのエネルギー使用を再生可能エネルギーへの転換や廃棄物の削減、リサイクル技術の向上など、製品のライフサイクル全体で環境負荷低減を目指しています。
自動車業界を牽引するトヨタのGXへの挑戦は自動車業界全体にとっても大きな影響を与えると期待されています。
■Appleサプライチェーン全体のカーボンニュートラル化
Appleは2030年までに自社のサプライチェーン全体をカーボンニュートラルにするという大きな目標を掲げています。
これは製品製造のプロセスから、配送、さらには製品の使用後の処理に至るまで、全ての段階でCO2を含む温室効果ガスの排出量を実質的にゼロにすることを目指しています。
Appleはすでに自社のオペレーションで100%再生可能エネルギーを使用していますが、サプライチェーン全体にまでこの取り組みを拡大することで、さらに環境負荷を減らすことを狙っています。
また、Appleはサプライチェーン内の全てのパートナーに対して、再生可能エネルギーの使用を推進しています。サプライチェーンに参加する企業は、製造過程での電力消費を太陽光や風力といった再生可能エネルギーに転換するよう求められており、この取り組みによって、2022年時点でサプライヤー全体の半数以上が100%再生可能エネルギーを使用するようになりました。Appleは再生可能エネルギーの導入が難しい地域でも技術的な支援を提供することで、グローバル規模のエネルギー転換に貢献しています。
さらに、Appleが進めるもう一つの重要な取り組みはリサイクル素材の使用を増やすことです。これはカーボンニュートラルの重要な柱となっており、iPhoneやMacBookといった製品にリサイクルされたアルミニウムやプラスチックを使用することで資源の無駄遣いを減らし、新たな原材料の採掘による環境破壊を押さえる努力をし続けています。
そして、Appleでは「Daisy」と呼ばれるリサイクルロボットを開発し、使用済みのiPhoneから貴重な部品や材料を回収して再利用することで、資源の循環型利用を実現しています。
このように、Appleでは製品の製造から廃棄に至るまで徹底的にカーボンニュートラルを目指す取り組みを続けており、2030年のカーボンニュートラル達成に向けた道筋を着実に歩んでいます。世界的にトップ企業であるAppleがここまで徹底的にGXを推進していることは、他の企業や他の業界にまでも大きな影響を与えています。
まとめ
GXは気候変動や環境問題が私たちの日常生活にますます深刻な影響を与える中、企業がどのように地球環境に対して責任を負うべきかということが大きな課題となっています。
これまでの経済成長は、化石燃料の大量消費や自然資源の過剰な利用に支えられてきましたが、そのような成長は地球温暖化や異常気象、生態系の破壊の上に成り立っていたことが明らかになってきました。
GXを実現するための道のりは決して平坦ではありません。特に、中小企業にとっては新しい技術の導入やエネルギー転換にかかるコストは大きな課題となることがあります。
そのためにも、政府や地方自治体による支援が重要な役割を果たしています。
今後数十年にわたりGXは企業だけでなく私たちの課題であり、将来に向けた成長を実現するための重要なステップです。GXの重要性を理解し、その実現に向けて何ができるか一緒に考えていきましょう!