お知らせ
省エネ大賞2024
2025/01/10
省エネ(省エネルギー)とは、エネルギーの無駄を減らし、効率的に活用することで、必要な活動を維持しながらエネルギー消費を削減する取り組みを指します。
電気やガスの使用を減らしたり、生産過程での効率を高める工夫が家庭や企業、産業などのあらゆる分野で行われています。
省エネを行うことは地球温暖化対策として重要な役割を果たすことは多くの方の共通認識となっていることでしょう。二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガス排出量を抑えることで、環境保護や持続可能な社会の実現に貢献しています。また、資源の有限性を考慮し、未来の世代に必要なエネルギーを残すためにも欠かせない取り組みです。
一方で、省エネは経済的な効果も大きく、コスト削減だけでなく企業間の競争力向上にも寄与しています。このように、省エネは環境、社会、経済の全てにとって重要な活動です。
今回は、省エネ大賞2024に焦点を当て、さまざまな企業の取り組みに触れていきます。
省エネ大賞とは?
国内の企業・自治体・教育機関等に 対して優れた省エネ推進の事例や、省エネ性に優れた製品並びにビジネスモデルを「省エネ大賞」 として一般財団法人省エネルギーセンターより、毎年表彰されています。----------------
事業者や事業場等において実施した他者の模範となる優れた省エネ取り組みや、省エネ性に優れた製品並びにビジネスモデルを表彰するものです。この表彰事業では、公開の場での審査発表会(製品・ビジネスモデル部門および省エネ事例部門の小集団活動分野でのビデオ審査選択者は、ビデオ審査実施)や受賞者発表会(オンライン配信)、さらには省エネ事例部門の全応募事例集や製品・ビジネスモデル部門の受賞概要集などを通じ、情報発信や広報を行うことにより、わが国全体の省エネ意識の拡大、省エネ製品の普及などによる省エネ型社会の構築に寄与することを目的としています。
(経済産業省「省エネ大賞」:https://www.eccj.or.jp/bigaward/winner24/)
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受賞企業の取り組み事例
①経済産業大臣賞
株式会社デンソー メカトロニクスシステム製造部
「技術開発で生み出す新エア洗浄技術の確立」
大量の圧縮エア―を消費するエアー洗浄工程(高速の風を対象に当てて異物除去や乾燥を行う“吹き付け”と、除去した異物を空気と共に吸引回収する“吸引”を実施する工程)に着眼し、電動ブロワー1台で吹き付けと吸引を同時に担うことのできる洗浄技術の開発によって、従来の洗浄方法に比べて90%のCO2排出量削減を実現した省エネ活動です。
様々なサイトで調べていると、株式会社デンソーでは2000年頃から省エネならぬ省エアにも取り組み、異物除去や乾燥に取り組まれていました。無駄を省くだけでなく、実際に省エネにも貢献することを目的に根本からの対策を講じています。
このシステムを製造部内の12の工程へ導入した結果、原油換算3.9kL/年のエネルギー削減を達成し、さらに社内全体・取引先へ展開していくことで、最大7,567kL/年の削減を見込んでいるそうです。
大手企業が行う取り組みとして、自社だけでなく取引先にも大きな影響を与え、さらには大きな省エネの取り組みとして地球規模に影響を与える可能性が大きく評価されているように感じます。
②経済産業大臣賞 (ZEB・ZEH分野)
株式会社クボタ/ 株式会社大林組/ 株式会社大気社
「国内最大級のワークプレイスを有する研究開発施設におけるZEB取得及び 省エネ活動」
ZEB取得(ZEB:Net Zero Energy Building)とは、「先進的な建築設計、パッシブ技術、高効率設備システムにより大幅な省エネを実現し、再生可能エネルギーの導入でエネルギー自立度を高め、年間一次エネルギー消費量の収支ゼロをめざす建築物」を指します。
今回の受賞背景としては、大規模な研究施設(7階建て、延床面積94,000m2)を新設し、省エネとウエルネスを両立する設計を行いました。
その結果、国内最大規模のNearly ZEB認証を取得。
主な省エネ対策として以下を実施しています:
- 潜顕熱分離空調と最適な送水温度設計
- 大空間用のエア・ラップフロー空調システム
- クール・ウォームピットによるエントランス外調処理と廃熱利用
- 自然光を活用したトップライト照明
- 雨水・空調ドレンの再利用
- 太陽光発電と蓄電池によるピークシフト運用
③経済産業大臣賞 (輸送分野)
ネスレ日本株式会社
「鉄道輸送を活用した持続可能な食品物流の革新」
ネスレ日本株式会社では、2010年からモーダルシフト(トラックによる輸送から鉄道および海運輸送への転換)を推進するなど、環境負荷の軽減に向けて積極的に取り組まれています。
2023年9月より、JR貨物グループとの連携によりトラック輸送から貨物鉄道輸送への移行をさらに加速させ、2024年2月、食品・飲料業界初の中距離帯での定期貨物鉄道輸送を開始。
こちらの取り組みでは静岡エリアから関西エリアへ200トン/日のトラック輸送を鉄道へ移行することとなり、年間の二酸化炭素(CO2)排出量は約900トンの削減になります。

省エネへの取り組みとこれからの未来
省エネは、地球温暖化やエネルギー資源の枯渇といった地球規模の課題に対応するため、必要不可欠な取り組みとなります。
これまで多くの企業が生産工程の効率化や、エネルギー消費を抑える製品の開発などを通じて、省エネ技術を進化させてきました。その結果、エネルギー使用量の削減だけでなく、コスト削減や製品の付加価値向上といった経済的効果も生まれています。
省エネ活動は、単なる環境対策にとどまらず、持続可能な社会を実現するための「未来への投資」として認識されつつあります。今後も、企業、個人、行政が協力し、より広範囲な省エネ型社会を築くことが求められます。
その中でも企業は、省エネ活動の中心的な担い手であり、技術革新や大規模な導入が可能な重要な存在です。エネルギー効率の向上や再生可能エネルギーの活用は、企業がその影響力を活かして社会全体のエネルギー消費を抑える手段です。
また、省エネ技術を輸出することで、グローバルな課題解決にも貢献が可能です。
日本は、省エネ分野で世界をリードする高い技術力を持っています。これを生かし、カーボンニュートラルを目指す取り組みを強化することが、企業の社会的責任であり成長戦略となります。地球規模の環境問題に対応しながら、未来世代に持続可能な社会を残すため、今こそ行動が求められています。