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エコマークのお話し
2025/04/28
はじめに
最近よく見かける「エコマーク」文房具や日用品、家電製品など、私たちの身近な商品にこのマークが付いているのを目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。でも、「なんとなく環境にいいイメージはあるけれど、実際どんな意味があるのかはよく分からない…」という方も少なくありません。
環境への意識が高まる今、消費者が「何を選ぶか」という行動が、社会や未来に大きな影響を与えるようになってきました。今回は、そんなエコマークについて、サービスを受ける側・取得する側の両方の視点からご紹介します。
エコマークとは?
ライフサイクル全体で環境負荷が少ないと認められた製品・サービスの目印です。以下の環境領域に資する製品・サービスが認定対象です。資源循環(再生材料を使用した製品など)
地球温暖化(省エネルギー機器)
健康・環境(化学物質が制限・コントロールされた製品)
生物多様性の保全(生分解性の高い製品など)
節水(便器、給水栓、節水器具)
大気汚染(インキ、塗料) など
日本では、公益財団法人日本環境協会が1989年から制度を運営しており、製品のライフサイクル全体にわたって環境への負荷が少ないことを審査し、認定を行っています。

エコマークは、「私たちの手で地球を、環境を守ろう」という願いを込めて、「環境(Environment)」および「地球」(Earth)の頭文字「e」を表した人間の手が、地球をやさしくつつみ込んでいるすがたをデザインしたものです。このマークは、(財)日本環境協会が1988年に一般公募したデザインの中から、環境庁長官賞として選ばれた作品をもとに制定されました。(引用「公益財団法人日本環境協会より」)
エコマークの歴史と広がり
エコマーク制度が始まったのは1989年。当時はまだ「環境にやさしい商品」が少なく、社会全体で環境への配慮を広めようという背景がありました。それから30年以上が経ち、エコマークの対象となる製品の種類は大きく広がりました。現在では、文具・家電・家具・住宅建材・衣料品・包装資材・清掃用品・印刷物など、日常生活のあらゆる分野に認定製品が存在しています。また、製品だけでなく「ホテル」や「建築物」などサービスや施設に対してもエコマークが付与されるようになりました。
さらに、国際的には「タイプⅠ環境ラベル(ISO14024)/ 環境省大臣官房環境経済課」として世界共通のルールのもとに運営されており、他国の環境ラベルとの相互承認も進められています。こうした広がりが、企業・自治体・消費者の意識を高め、環境配慮型社会の実現に貢献しています。
取得する側の視点:企業がエコマークを目指す理由
企業にとって、エコマークの取得は「環境に配慮していることの証明」であり、信頼性のあるアピールポイントになります。特に環境意識の高い顧客層からの支持や、企業ブランドの向上、他社との差別化といったメリットがあります。エコマークを取得するためには、所定の基準に適合していることを証明する書類の提出、審査、現地確認などのプロセスが必要です。決して簡単ではありませんが、その分、取得後の信頼感は高く、グリーン購入法などの公共調達にも有利に働くことがあります。
中小企業にとっては費用や手間が課題になることもありますが、補助金制度の活用や、エコマークに対応した製品設計を初期段階から意識することで、無理のない導入が可能になります。
また、エコマーク取得は、単なるラベルではなく「企業がどれだけ社会的責任(CSR)を果たしているか」の指標にもなっています。
選ぶ側の視点:消費者としてエコマークをどう見るか
私たちが商品を選ぶとき、「価格」や「使いやすさ」だけでなく、「環境へのやさしさ」を基準のひとつにする人が増えています。そんなとき、エコマークはとても分かりやすい判断材料になります。たとえば、「この文房具はリサイクル素材を使っている」「この洗剤は排水に配慮している」など、エコマークのある製品は、私たちの小さな選択が環境保全につながることを“見える化”してくれます。
もちろん、すべての「エコ」と書かれた商品がエコマークを取得しているわけではありませんし、中には「なんちゃってエコ」な表示もあります。だからこそ、信頼性のある第三者機関が審査したエコマークには意味があるのです。
私たち消費者がエコマークを意識して選ぶことは、企業に「環境に配慮した製品づくりをしてほしい」というメッセージを伝えることにもなります。
事例①パレスホテル東京の取り組み
パレスホテル東京は、環境への配慮を積極的に行い、その成果として「エコマークアワード2021」の優秀賞を受賞しています。- 生ごみの有機肥料化:1992年からホテル内で発生する生ごみを有機肥料に転換するリサイクルシステムを導入。これにより、廃棄物の削減と資源の有効活用を実現しています。
- サステナビリティコンセプト「未来を、もてなす。」の策定:持続可能な社会の実現に向けた行動指針として、このコンセプトを掲げ、社内外への浸透を図っています。
- 植物由来のメニュー提供:オールデイダイニング「グランド キッチン」では、100%植物由来の「オリジナル プラントミートバーガー」を提供し、環境負荷の低減に貢献しています。
事例②スターバックスコーヒー
2030年までに二酸化炭素(CO₂)、水使用量、廃棄物の50%削減を目指し、以下の取り組みを行っています。- リユースカップの推奨:テイクアウト時に繰り返し使えるリユースカップの利用を促進し、使い捨てカップの削減に取り組んでいます。
- 環境負荷の低い店舗設計:国際認証「Greener Stores Framework(スターバックス公式)」を導入し、環境に配慮した店舗づくりを進めています。
これからのエコマークのあり方
環境問題はますます深刻化しており、エコマークにもさらなる役割が求められています。たとえば、「脱炭素」や「サーキュラーエコノミー(循環型経済)」の実現に向けた製品の認証や、製品の原材料・生産工程の透明性を高めるトレーサビリティの導入などが進められています。また、自治体や学校、企業が積極的にエコマーク認定製品を導入することで、社会全体の意識を底上げする動きも加速しています。
これからのエコマークは、ただの「ラベル」ではなく、社会全体をつなぐ「コミュニケーションの橋渡し役」としての役割を果たしていくことが期待されています。
まとめ
エコマークは、私たちが日々の生活の中で「環境にやさしい選択」をするためのシンプルでわかりやすいサインになります。企業にとっては信頼と価値の証明であり、消費者にとっては選ぶための安心材料となります。何気なく手に取った商品にエコマークがついていたら「これはどんな配慮がされているのだろう?」と立ち止まって考えてみる…
そんな小さな意識の積み重ねが、環境にやさしい社会をつくる第一歩になるのではないでしょうか?
私たちひとりひとりの選択が、未来を変える力を持っている。
エコマークは、私たちと環境、そしてこれからの未来をつなぐ大切な証だと考えます。