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工場・事業所で増えるエネルギーコスト対策とは?今こそ見直したい省エネと設備改善
2026/07/16
近年、製造業や物流業、食品工場、印刷工場、倉庫など、多くの事業所で経営課題となっているのが「エネルギーコスト」の増加です。電気料金やガス料金の上昇に加え、近年は猛暑の影響で空調設備の稼働時間が長くなり、電力使用量そのものも増加する傾向にあります。
一方で、労働安全衛生法に基づく熱中症対策の強化や、従業員の働きやすい職場環境づくりも求められており、「節電したいが、空調は止められない」という状況に直面している企業も少なくありません。
しかし、エネルギーコストは単純に使用量を減らすだけではなく、設備の更新や運用方法の見直し、エネルギーの見える化などによって、快適な作業環境を維持しながら削減できる可能性があります。
本記事では、工場・事業所におけるエネルギーコストが増える背景や、具体的な対策について詳しく解説します。
エネルギーコストが上昇する背景
日本ではエネルギー資源の多くを海外から輸入しているため、国際的な燃料価格や為替相場の影響を受けやすい状況にあります。近年は世界的なエネルギー需給の変化や円安などを背景に、企業の電気料金や燃料費は高止まりの傾向が続いています。また、夏季には気温が35℃を超える日も珍しくなくなりました。工場内では機械設備からの発熱や屋根・外壁からの熱の影響も受けるため、室内温度は屋外以上に高くなることがあります。その結果、空調設備の負荷が大きくなり、電力使用量も増加します。
さらに、生産設備の増設や24時間稼働、品質管理のための冷却設備なども、エネルギー消費を押し上げる要因となっています。
工場で電力を多く消費する設備とは
工場の電力使用量を分析すると、特定の設備に消費が集中しているケースが多く見られます。空調設備
夏場の空調は、工場全体の消費電力の大きな割合を占めることがあります。特に天井が高い工場では暖かい空気が上部にたまりやすく、冷房効率が低下するため、設定温度を下げても思うように室温が下がらないことがあります。コンプレッサー
圧縮空気を利用する製造業では、コンプレッサーが工場全体の消費電力の20~30%程度を占める場合もあります。配管のエア漏れや過剰な圧力設定は、大きな電力ロスにつながるため注意が必要です。モーター設備
ポンプや送風機、搬送ラインなどに使用されるモーターは、長時間稼働することが多く、古い設備では必要以上の電力を消費していることがあります。インバータ制御への更新により、省エネ効果が期待できます。照明設備
蛍光灯や水銀灯を使用している工場では、LED照明への更新によって消費電力を40~70%程度削減できるケースもあります。また、LEDは寿命が長いため、交換やメンテナンスの負担軽減にもつながります。まず取り組みたい「見える化」
省エネ対策を成功させるためには、「どこで、どれだけ電力を使っているのか」を把握することが重要です。近年では、エネルギーマネジメントシステム(EMS)やIoTセンサーを導入し、設備ごとの消費電力をリアルタイムで確認する企業が増えています。
例えば、休日や夜間にも電力を消費している設備が見つかったり、ピーク時に特定の機械へ負荷が集中していることが分かったりするケースがあります。
見える化は無駄を発見する第一歩であり、設備更新の優先順位を決める際にも役立ちます。
空調効率を改善する方法
夏場は「空調を止める」のではなく、「効率よく冷やす」ことが重要です。例えば、
- フィルターの定期清掃
- 室外機周辺の障害物除去
- サーキュレーターや大型シーリングファンの活用
- 遮熱シート・遮熱フィルムの施工
- 屋根や外壁への遮熱塗装
- ビニールカーテンによる空間の区画化
また、空調の吹き出し方向や風量を見直すだけでも、冷気が均一に行き渡りやすくなり、設定温度を必要以上に下げずに済む場合があります。
コンプレッサーの点検は高い費用対効果
工場で見落とされがちなのがエア漏れです。わずか1か所の漏れでも年間では多くの電力が無駄になることがあります。
定期点検を実施し、
- 配管の漏れ確認
- 継手の点検
- 不要な圧力設定の見直し
- フィルター交換
デマンド管理で基本料金を削減
企業向け電力契約では、最大需要電力(デマンド)によって基本料金が決まるケースがあります。一時的に多くの設備を同時稼働させると、そのピーク値が契約電力に反映され、基本料金が高くなることがあります。
設備の稼働時間を分散したり、デマンド監視システムを導入したりすることで、ピーク電力を抑え、基本料金の削減につながる可能性があります。
再生可能エネルギーの活用
近年は、自家消費型太陽光発電を導入する工場も増えています。工場や倉庫の屋根は広いため、太陽光パネルを設置しやすく、日中の電力を自社でまかなうことで購入電力量を削減できます。
また、蓄電池を組み合わせることで、停電時の事業継続計画(BCP)対策としても活用できます。
さらに、再生可能エネルギーの導入は、企業の環境配慮やESG経営への取り組みとしても評価されることがあります。
熱中症対策と省エネを両立する
夏場の工場では、節電だけを優先すると、作業環境が悪化し、生産性の低下や熱中症のリスクが高まる可能性があります。厚生労働省では、職場における熱中症対策として、適切な空調管理や休憩、水分補給などを推奨しています。
そのため、空調を止めるのではなく、
- スポット空調
- 気化式冷風機
- 大型シーリングファン
- 遮熱設備
- 作業エリアごとの空調制御
これにより、従業員の快適性を維持しながら、エネルギー使用量の最適化が期待できます。
補助金や支援制度も活用しよう
省エネ設備の導入には初期投資が必要ですが、国や自治体では高効率設備や省エネ設備への更新を支援する補助金制度が設けられることがあります。対象となる設備には、
- 高効率空調設備
- LED照明
- 高効率モーター
- インバータ設備
- コンプレッサー
- エネルギーマネジメントシステム(EMS)
補助金は年度や地域によって内容が異なるため、最新の募集要項を確認し、設備更新のタイミングと合わせて活用するとよいでしょう。
まとめ
エネルギーコストの上昇は、多くの工場・事業所にとって避けて通れない経営課題です。しかし、「節電=我慢」ではありません。設備の効率化や運用改善、エネルギーの見える化を進めることで、作業環境や生産性を維持しながら、コスト削減を実現できる可能性があります。特に、空調設備やコンプレッサー、照明など、消費電力の大きい設備を重点的に見直すことで、投資効果の高い改善が期待できます。また、太陽光発電やEMSの導入、補助金の活用なども視野に入れることで、中長期的な経営基盤の強化にもつながるでしょう。
まずは現状のエネルギー使用状況を把握し、自社に合った省エネ対策を段階的に進めていくことが、これからの持続可能な企業経営への第一歩となります。
省エネ対策お気軽にご相談ください。
参考資料・データ
- 資源エネルギー庁「省エネポータルサイト」
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/ - 経済産業省「エネルギー白書」
https://www.enecho.meti.go.jp/about/whitepaper/ - 一般財団法人 省エネルギーセンター(ECCJ)
https://www.eccj.or.jp/ - 環境省「脱炭素ポータル」
https://ondankataisaku.env.go.jp/ - 厚生労働省「職場における熱中症予防情報」
https://neccyusho.mhlw.go.jp/

