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温室効果ガスを発生させないクリーンエネルギーとして注目されている水素
2022/06/10
水素は、電気を使って水、石油や天然ガスなどの化石燃料、メタノールやエタノール、下水汚泥、廃プラスチックなど、さまざまな資源からつくることができます。
医療や美容などにも欠かせない物質として名高い水素ですが、温室効果ガス削減などに抑制できることにわかり、資源の乏しい、ここ日本でも調達が容易な新しい資源として大注目されています。
そんな水素ですが「ブルー水素」や「グリーン水素」と言われるものなどを聞いたことがありますでしょうか?
1.水素
水素は文字通り「水の素」という意味で命名された元素です。水から酸素を分離して水素を取り出すことができますし、酸素と結びついて水になります。地球上で一番軽い物質で、無味無臭、無色透明な気体ですが、地球上には気体としてではなく、ほとんどが水(H₂O)として存在しています。
(軽さ参照)※空気1㎥ 1293g、 酸素1㎥ 1429g、二酸化炭素1㎥ 1977g、水素1㎥ 90g (0℃、1気圧のとき)
この水を電気分解すれば、水素と酸素が取り出せます。
この酸素との反応で容易に「燃焼」または「発電」し、「水」を排出しすることができます。
逆に、その水を電気分解し水素を取り出すことができるので、循環型エネルギーとしても注目を集めています。
その一方で水素ガスの製造過程でる二酸化酸素をそのまま大気中に排出されていることが問題となっています。
最近の脱酸素の加速により「いかにクリーンで安価な水素を製造するのか」といった研究開発・実証が各国で競争になっています。
2. 水素の色
水素に色が付けられて呼ばれているのは、ご存知ですか?現在、全世界で作られている水素の95%は、化石燃料、特に天然ガス由来でCO2を排出する方法で生成された水素ガスです。これらは、汚れた意味として「グレー水素」と呼ばれています。
最近「グリーン水素」「ブルー水素」「イエロー水素」など主なもので7種類もある色分けされて呼ばれるようなものが出てきています。
それぞれの色の詳細をお伝えします。
●グリーン水素
グリーン水素は、水を電気分解し、水素と酸素に還元して生産する水素のことです。この方法では、二酸化炭素などの温室効果ガスを一切発生させないことから、環境への悪影響を与えることなく水素を生産できます。
太陽光発電や太陽熱発電や風力・水力など再生可能エネルギーで作られた電力で水を電気分解し水素ガスを得る仕組みで「脱炭素」アイテムとして最も望ましい自然由来の水素です。
●ブルー水素
ブルー水素とは、天然ガスや石炭等の化石燃料を、蒸気メタン改質(Steam Methane Reforming)や自動熱分解(Autothermal Reforming)などで水素と二酸化炭素に分解し、二酸化炭素を大気排出する前に回収する方法です。“清浄化”の意味を込めてブルーと呼ばれています。
●イエロー水素
水を電気分解して水素を生成する際、原子力発電による電力を使用するものです。
原子炉用のウラン燃料の原料となるイエローケーキに由来するからです。
原子力発電を利用しているため、温室効果ガスの発生は抑制されるものの、放射性廃棄物を生み出すため、必ずしもクリーンエネルギーとは言えない一面もあります。
●パープル水素
イエロー水素は、パープル水素と呼ばれることもあります。
パープル水素は、バイオマスで発生したメタンガスから生成される水素ガスのことを指すこともあります。
●ホワイト水素
ホワイト水素は、他の製品製造プロセスの中で副産物として生成された水素となります。苛性ソーダ製造時の副生水素は純度も高く、高品質な水素が得られることから、定置用燃料電池や燃料電池車など高品質なものへ適用が可能と言われています。
●ターコイズ水素
再生可能エネルギー由来電力を使いco2を放出しない点が特徴で、欧州などで研究が進んでいます。
●ブラウン水素
グレー水素の中でも石炭、とりわけ褐炭を原料に生成した水素は、褐炭が茶色いことからブラウン水素と呼ばれています。
3.どの色の水素が注目されているか?
中でもブルー水素とグリーン水素は注目されています。ブルー水素の場合は温室効果ガスである二酸化炭素を貯留し、それを水素生産に使うため、大規模な生産施設が必要となります。
グリーン水素は、水から水素を製造するため、安定して水が供給できる場所でなければ生産できない現状があります。
そのため、ブルー水素においては「供給に十分な生産施設をいかに確保するか」、グリーン水素においては「供給の安定性をどのように確立するか」が実用化の鍵を握っていると言われています。
現在は、電気分解により水素を生成させるグリーン水素がコストが高くなる傾向があります。
2021年10月時点では、世界的なグリーン水素の販売価格(1キログラム)は3ドル(日本円で342円)~5ドル(日本円で571円)となっています。ただ、最近の技術革新により2025年までにさらに上記より40%程度のコストダウンを実現すると予想されています。
今後、コストダウンにより水素が1キロ当たり120円前後で売られるようになれば、ガソリンよりも安価な燃料として市中への普及へも容易になり、グリーン水素が優位に働いていくと予想されています。
現在、多くの企業は、「ゼロ・エミッション」を掲げて、水素を主流とするエネルギーへの展開を図っています。
グリーン水素の普及を目指す企業は、今後大きなビジネスチャンスにつながるかも知れません。
燃料供給が水素に生まれ変わることになれば、民需が活発になるからです。
様々な未来を考えながら「ゼロ・エミッション」を目指してきましょう。