お知らせ
脱石炭国際連盟
2022/11/08
英国政府とカナダ政府のイニシアチブにより発足した石炭火力発電からの脱却とクリーンエネルギーへの移行を目指す国際的な枠組みとして、脱石炭国際連盟というグループがあります。
メンバーに加盟することは、「自国内の既存の二酸化炭素(CO2)回収装置のない旧式の石炭火力発電所の段階的閉鎖(フェーズアウト)および新規建設の停止を約束する」ことになります。
この脱石炭国際連盟を詳しく説明したいと思います。
脱石炭国際連盟とは?
脱石炭国際連盟(だつせきたんこくさいれんめい、英語: The Powering Past Coal Alliance、略称:PPCA)石炭火力発電所の化石燃料の段階的廃止(英語版)と 炭素の回収と貯蔵を加速することを目的とした165の国、都市、地域、組織のグループである。脱石炭連盟とも呼ばれる。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
2017年11月、COP23において、英国とカナダの両政府の主導で「脱石炭に向けたグローバル連盟」=脱石炭国際連盟が発足しました。スタート当初は25カ国・地域の参加。
脱石炭国際連盟の目的とは?
ざっくりいうと、最大のCO2排出源である石炭火力発電の段階的廃止を進める国・地域・企業による連合です。この連合に参加するには、高効率とされる石炭発電であってもやめていくことを約束する団体です。
■政府/自治体は、既存の従来の石炭火力発電所を段階的に廃止する。
■政府/自治体は、運用中の炭素の回収と貯留を行わずに、新しい従来の石炭火力発電所にモラトリアムを作成する。
■企業/組織は石炭なしで事業を推進する。
■加盟機関は、方針と投資においてクリーンな動力をサポートすることを保証する。
■加盟機関は、炭素の回収と貯蔵を行わない従来の石炭火力への融資を制限する。
加盟
2022年11月現在、48の国、48の自治体、69の企業や組織が加盟しています。(加盟国)
アルバニア
アンゴラ
オーストリア
アゼルバイジャン
ベルギーの旗 ベルギー
カナダの旗 カナダ
チリ
コスタリカ
クロアチア
デンマーク
エルサルバドル
エストニア
エチオピア
フィジー
フィンランド
フランスの旗 フランス
ドイツの旗 ドイツ
ギリシャの旗 ギリシャ
ハンガリー
アイルランドの旗 アイルランド
アイスランドの旗 アイスランド
イタリアの旗 イタリア
ラトビア
リヒテンシュタイン
リトアニア
ルクセンブルク
マーシャル諸島
モーリシャス
メキシコの旗 メキシコ
モンテネグロ
オランダの旗 オランダ
ニュージーランド
ニウエ
北マケドニア
ペルー
ポルトガルの旗 ポルトガル
セネガル
シンガポール
スロバキア
スロベニア
スペインの旗 スペイン
スウェーデン
スイスの旗 スイス
ツバル
ウクライナ
イギリスの旗 イギリス
ウルグアイ
バヌアツ
地方自治体として京都が加盟
参加国を見てわかる通り、日本政府は、加盟・参加していませんが、2021年3月に京都市が、日本で初めて脱石炭国際連盟に加盟しました。この脱石炭国際連盟への加盟のきっかけは、気候危機に晒される若者たちからの要請からだったそうです。
2019年5月Fridays for Future Kyotoが作成した京都市への提言書の中で、日本の気候政策への国際的評価が低い要因として、石炭火力発電所を国内外で推進する国の姿勢に国内外で批判の声があることに触れ、具体的な行動として脱石炭を宣言することを求めたそうです。
この要請に応え、加盟したそうです。
Fridays For Future Kyoto
@FutureKyoto
京都市に石炭火力発電所はありませんが、PPCAが石炭火力のフェーズアウトを約束し、二酸化炭素回収貯留技術(CCS)のない新規建設は止めることをコミットすることを謳っていることから、京都市は日本で初めて石炭火力発電所の段階的廃止(フェーズアウト)方針を宣言した事になりました。
自治体としての事例
韓国の石炭火力発電所の密集地として知られる特別自治市の忠清南道(チュンチョンナムド)があります。脱石炭国際同盟にアジアからはじめて加盟した自治体です。
忠清南道は、韓国にある石炭火力発電所のうち半数を占めており、2050年までに石炭火力を撤廃し、再生可能エネルギー発電に転換する目標を立てています。
エネルギー関係の政策は国が権限を持つため、忠清南道は、他の地方自治体とも連携し、共同声明の発信したりして、国レベルのアクションへと押し上げていく段取りを行いました。
また、石炭火力発電所への投資撤退するような工夫を凝らしました。
こうした活動が実を結び、韓国政府は2019年11月、忠清南道で最も古い石炭火力発電所の閉鎖したり実績が出てきています、
自治体から「脱石炭」を広げ、国まで動かした成功事例です。
これから日本でも脱石炭国際連盟に加盟する地方自治体や企業・組織が増え炭火力発電からのフェーズアウトが広がっていくのではないかと考えられています。
私たちの生活に密接に結びついているエネルギー資源。
自分が住む地域、職場が脱石炭に向けてどんな取り組みをしているのか考えたり、調べてみてください。