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CO2削減だけでは温暖化問題は解決しないの?
2023/04/19
◆世界的に深刻な温暖化問題
近年、大規模な洪水や熱波など国際的に大きな問題となっている異常気象。
オーストラリアでは2019年から2020年にかけて大規模な森林火災が発生し、30人以上が死亡し、数千等の住宅が被害を受け、10億匹以上の野生動物が死亡するという痛ましい状況が生じることとなりました。
さらにアメリカでも2020年に大規模な森林火災が発生しており、30人以上が死亡し多数の野生動物や家畜が死亡するなど多くの被害が出ています。
私たちが住む日本でも、2019年7月には岐阜県で40.7℃を観測し日本観測史上最高気温を更新しました。大雨の被害も相次ぎ、2018年7月には西日本を中心に被害が発生し多数の死傷者や河川の氾濫が起こりました。
異常な高温、台風や豪雨災害など数十年前までは考えられなかったような現象が次々と起きています。
このような異常気象の背景には地球温暖化による気候変動があったとされています。
そして温暖化の原因として、IPCC第6次報告書では「人間の影響が大気、海洋、及び陸域を温暖化させてきたことには疑う余地がない。大気、海洋、雪氷圏、及び生物圏において、広範かつ急速な変化が現れている」と強い言葉で明記され、世界各国に衝撃が走りました。
※IPCCとは?
IPCCとは「Intergovernmental Panel on Climate Change」の略で、日本語では「国連気候変動に関する政府間パネル」と言われている1988年に国連環境計画(UNEP)と世界気象機関(WMO)によって設立された国連の組織です。
IPCCは195の国と地域が参加しており(2022年7月現在)多くの科学者や政府が参加し定期的に気候変動に関する最新の科学的知見の評価と報告書を作成しております。この報告書は世界の気候変動政策に影響力を持っているとされています。
【参考URL】
・IPCC公式サイト
・気象庁/IPCC第6次評価報告書(2021年~2022年)
◆温暖化問題はCO2削減だけで解決できる?
このまま温暖化が進み、地球の平均気温が1.5℃上昇すると約20%の種が絶滅すると予測され生態系が崩壊する可能性があるとされています。
もちろん、私たちの暮らしにおいても海面上昇や食料不足などは、直接的な影響を及ぼすことが懸念されています。
では、どのようにしたら温暖化を防ぐことができるのでしょうか?
IPCC第4次評価報告書によると温暖化はCO2の寄与76.7%となっており、メタン14.3%、一酸化二窒素7.9%、フロン類1.1%となっています。
このデータからもわかるように、温暖化の原因の多くはCO2に寄与するものとされています。
そのため世界中では様々なCO2削減のための取り組みが行われ、2015年12月フランスのパリで開催されたCOP21で「パリ協定」が採択されました。この「パリ協定」では地球温暖化を防ぐために脱炭素社会の実現が目標の一つとされ、各国が温室効果ガスの排出量削減目標を設定しました。
脱炭素社会の動きは世界でもどんどん加速しており、2021年11月時点で154カ国・1地域が2050年の脱炭素社会の実現を表明しています。
日本でも2020年10月に「2050年を目途に温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」という所信表明をし、国や企業が様々な取り組みをしております。
ですが、ただ単純にCO2削減しただけでは温暖化は防ぐことはできません。
CO2削減することは非常に重要ですが、合わせて「気候にレジリエントな開発」が必要不可欠であるとされています。
◆キーワードは「気候にレジリエントな開発」
「気候にレジリエントな開発」とは、将来的な温暖化や自然災害のリスクに対して持続可能で適応力がある開発に取り組むことです。
具体的には、豪雨災害による被害を少なくするための河川の改修や堤防の整備、避難計画の策定や高温による熱中症対策のための都市計画の見直しなどです。
そのほかにも、環境に優しい再生可能エネルギー利用の促進、水や食料の管理、持続可能な農業や漁業の推進などがあります。
「気候にレジリエントな開発」の重要性については2015年に採択された国連の「SDGs」でも強調され、さらに「パリ協定」でも取り上げられ、近年ではCO2削減だけでなく「気候にレジリエントな開発」も必要であるという認識が広まってきています。
◆「気候にレジリエントな開発」の課題は?
「気候にレジリエントな開発」を実現するためには、いくつかの課題を解決する必要があります。
まずは、大規模な投資が必要だということです。
気候変動に対する世界全体の投資額は年間で1000億ドル以上に達するとされ、財政的な課題は避けて通ることができません。
その金銭的負担は国家や自治体の大きな課題となっており、特に開発途上国では十分な投資ができません。
公的資金だけでは実現が難しいため、世界各国の再生可能エネルギーに積極的に取り組む企業や、SDGsに取り組む企業などの多岐にわたる企業が協力しています。
次に技術面です。
新しい技術やシステムを導入する必要があるため、その開発や普及には時間がかかってしまいます。さらに困ったことに、技術開発自体が環境負荷を生じてしまう可能性もあります。
ですが、中でも一番難しい問題は政治的な課題です。
そもそも地球温暖化は地球全体の問題なので「気候にレジリエントな開発」には国際社会の協力が必要です。ですが、政治的対立などが原因で協力が難しい場合もあります。
「気候にレジリエントな開発」を実現させるためにも多角的アプローチかつグローバルな取り組みが必要となっています。
◆まとめ
地球温暖化はとても身近な問題であり、それは国や企業だけでなく私たち1人1人の問題でもあります。
たとえ、国のように大きな対策はできなくても
・自動車の利用を減らす
・LEDや省エネ家電の導入などエネルギーの節約を心がける
・オーガニック製品やリサイクル製品などのサスティナブルな商品を選ぶ
など、個人レベルでも「気候にレジリエントな開発」のためにできることがたくさんあります。
地球環境を守るため、私たちの日々の意識改革が必要不可欠です。
1つ1つの取り組みは例え小さくてもコツコツ積み重ねることによって、地球温暖化を防ぐ取り組みに繋がっていきます。
私たちは便利な生活と引き換えに大切な地球に多くの負荷をかけ続けていたのかもしれません。本当に手遅れになってしまう前に、地球温暖化を防ぐため私たち1人1人が何ができるかをぜひ考えてみませんか?
ともに未来のために持続可能な社会を実現していきましょう。