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空調制御・省エネ空調機器とは?
2023/07/13
多くの企業や施設で「空調」の消費電力比率は高い傾向にあります。
「意外」と思われる方もいるかもしれませんが、オフィスビルや飲食店では全電気料金に占める割合の約50%が「空調」です。また、医療機関や食品スーパー、ホテルにおいても全電気料金に占める割合の25〜28%が「空調」によるものです。
電気料金の高騰などのコスト面の問題だけでなく、環境への配慮が求められる現代社会において、企業や施設にとって省エネルギーは重要な課題です。そのため、エネルギーコスト削減のためにも空調設備の制御・管理をすることができる空調制御・省エネ空調機器を導入する企業や施設が増えてきています。
そこで、今回は多くの企業や施設で導入が進んでいる空調制御・省エネ空調機器」についてご紹介します。
空調制御・省エネ空調機器とは?
空調制御・省エネ空調機器とは建物や施設などの空調設備を制御・管理し、空調の温度や湿度をコントロールする機器のことです。
空調制御・省エネ空調機器の機能
空調制御・省エネ空調機器には、快適な室内環境を維持しながらエネルギー効率を良くするための機能がいくつか搭載されています。
①温度・湿度の制御
室内の快適な環境を維持するために、温度・湿度の制御機能がついています。温度制御はセンサーが室内の温度を検知し、事前に設定した温度に達すると冷房や暖房を制御します。一方、湿度制御はセンサーが室内の湿度を検知し適切な湿度に調整します。
この2つの制御により、室内の温度を一定に保ち、過度の湿気や乾燥を防ぐことで快適な室内環境を維持することができます。
②換気制御
換気制御は室内の空気の入れ替えを管理しています。空気の流れを制御することで、新鮮な外気を取り込み、人々や家具から発生する二酸化炭素などの物質を排出します。
換気制御により室内の空気品質を向上させ、安全かつ健康な環境を確保することができます。
③遠隔操作
遠隔操作はユーザーが空調システムをスマホやタブレットなどのモバイル端末やPCから操作できる機能です。遠隔操作により、外出先からでも空調設定を調整することができ、効率的にエネルギーを使用することが可能になります。
空調制御・省エネ空調機器のメリット・デメリット
空調制御・省エネ空調機器のメリット
①エネルギー効率の向上
空調制御・省エネ空調機器を導入することで、エネルギー効率の向上が期待されます。例えば、エアコンの温度を1度調整すると「約10%」の省エネ効果が見込まれます。
「暑い」と感じたり「寒い」と感じた人によって手動で下げたり、上げたりすることもできますが、その行動は一定のルールにしたがっていない感覚的なものでありエアコンの冷却機能を効率的に運用しているとは言えません。
一方、空調制御・省エネ空調機器では、室内外の状況や使用条件に応じて適切な運転モードを選択することにより、効率的にエネルギーの無駄を削減することができます。
②環境負荷の低減
空調制御・省エネ空調機器は、高効率な圧縮機やファン、制御システムによって従来の空調機器に比べてエネルギー消費量を削減することができます。エネルギー消費量の削減により、CO2の排出量が削減され、環境負荷や気候変動への寄与を軽減し、持続可能な社会の実現に向けた貢献をしています。
空調制御・省エネ空調機器のデメリット
①導入費用
空調制御・省エネ空調機器は導入費用が高くなる傾向にあります。高性能な高効率の機器や制御システムなど最新の技術を備えているため、一般的な空調機器と比較すると価格が高くなってしまいます。
システムを導入するためには専門的な施工や技術や知恵が必要です。専門技術者による作業費用が追加でかかる可能性があります。
さらに導入をする前には現状の診断や調査が必要であり、導入費用以外に導入予定地を評価するための調査費用がかかることがあります。
空調制御・省エネ空調機器導入は長期的な目線で見るとコスト削減やエネルギー効率の向上、環境負荷の提言などメリットが多いように感じますが、初期費用の高さは導入する際の大きな課題となっています。
②専門知識と技術が必要
空調制御・省エネ空調機器には専門知識と技術が欠かせません。空調制御の専門知識や省エネ空調機器の専門知識など、どうすれば快適な環境を保てるかなど基本的な理解が求められます。
また、室内環境やエネルギー効率に関する理解や、システムの構成や制御のアルゴリズムなどの理解も必須です。
これらの専門知識と技術を持った人材の需要は高まっており、需要と供給のバランスが良いとは言えず、人材確保が重要な課題となっています。
そのため、企業などでは教育プランによって、空調制御・省エネ空調機器の技術を教育する取り組みが行われています。
③メンテナンス
空調制御・省エネ空調機器は、メンテナンス作業が必須です。ホコリや汚れが溜まると、空調機器の効率が低下するので空調機器や周辺のフィルターや冷却コイルなどを定期的に清掃します。
また、部品、システムの点検・交換、エネルギー使用の監視などは人力で行わなくてはいけません。
また、定期的なメンテナンスがされていないと空調制御・省エネ空調機器の故障やパフォーマンス低下の原因となり、効率の低下や修理などにより運転コストの増加してしまいます。
そのため、メンテナンスのための費用や時間を割く必要があるので企業によっては人材確保やコスト面で導入を見送る可能性もあります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
最近では、IoTの発展により空調制御・省エネ空調機器にもAIが搭載された製品が登場しました。AIの導入により学習型制御が可能となり、より最適な運転パターンを選択することができ、室内をモニタリングしてAIが冷暖房制御することにより、電気使用量を大幅に削減することができるようになりました。
空調制御・省エネ空調機器は環境への負荷を軽減しながら、快適な室内環境を実現することができる技術です。長期的に考えるとコスト面でも環境面でもメリットの多く、環境負荷への低減にも大きな効果をもたらすので企業だけでなく自治体も積極的に導入に向けて積極的に取り組んでいます。
まだまだ初期投資費などのコスト面や専門知識・技術を持った人材確保の問題からスムーズに導入が進んでいないことも事実ですが、調制御・省エネ空調機器の技術の進歩や需要の増加に伴い、価格競争によって空調制御・省エネ空調機器のコストがより安くなることが期待されているため、これからますます目が離せない分野になってきています。
大切な地球を守るためにも空調制御・省エネ空調機器を上手く使用し、エネルギー効率の向上と環境負荷の提言により共に脱炭素社会を目指していきましょう。