お知らせ
暑熱対策とは?
2023/08/17
地球温暖化による気温上昇に伴い、夏には日本各地で記録的な猛暑が続き熱中症のリスクが高まります。
また、熱中症による死亡者は年々増加傾向にあります。
本来、私たちの体には体温調節システムがあり、季節に合わせて調整をすることができます。
しかし、急に気温が上がってしまうと体が暑さに慣れていないため体温調整がうまくできなくなり、熱中症になるリスクが高まってしまうのです。
そこで、暑い天候や猛暑の環境下で熱中症にならないためには「暑熱対策」をしっかりとする必要があります。
そのためには暑さに体を慣らす「暑熱順化」をすることの重要性が高まってきています。
企業においては、空調を実施している所と作業形態によっては空調が困難な所があり、スポットクーラー、扇風機等によって涼を取り、熱中症対策を実施している所もあるかと思いますが、今回は個人で出来る熱中症のリスクを下げるための「暑熱対策」について紹介します。
暑熱対策とは?
暑熱対策とは、熱中症のリスクを下げるため最近では企業や自治体、学校などで欠かせない対策となっています。
暑熱対策のためにはまず暑さに体を慣らすために「暑熱順化」をする必要があります。
暑さに体を慣らす「暑熱順化」の重要性
熱中症は高温環境の中で、体内の体温調節機能が乱れ、体温が上昇することで起こります。近年、想定外の暑さや急激な温度上昇が続き、私たちの体が暑さに慣れる前に夏本番の気候になってしまいます。
熱中症のリスクを下げるためにも暑さに体を慣らすための暑熱順化をする必要があり、そのためには日常生活の中で、無理のない範囲で汗をかくことが大切です。
また、暑さに体が慣れるためには個人差はありますが約2週間程度かかると言われています。
では、具体的にどのようなことをしたら良いのでしょうか?
①ウォーキング・ジョギング
ウォーキングやジョギングは誰でも簡単に始めることができます。ウォーキングであれば30分、ジョギングであれば15分が目安です。
例えば、電車で通勤や通学をされている方の場合は帰宅時に「一駅前で降りて歩く」ことや、外出時に30分程度のところであれば徒歩で移動するなど、暑い時間を避けつつも汗をかくことを意識してみましょう。
②サイクリング
自転車をお持ちの方は、通勤や買い物などに取り入れやすいサイクリングで汗をかくこともおすすめです。目安は1回30分程度です。
③筋トレ・ストレッチ
室内でも汗をかくことができる筋トレ・ストレッチもおすすめです。デスクワークなど体を動かす機会がない方は、簡単なストレッチをするだけでも凝り固まってしまった体がほぐれるので日常生活に取り入れると良いでしょう。
また、ハードな筋トレでなくヨガやピラティスなど無理のない範囲で体を動かしてください。
④入浴
夏場はつい暑いので、シャワーのみの方も多いのではないでしょうか?時間がない場合は仕方ないのですが、できれば2日1回は湯船にお湯を張って入浴しましょう。
入浴することで冷房で冷えてしまった体を芯から温め、適度に汗をかくことができます。
運動が苦手な方でも簡単に汗をかくことができるので、ぜひ試してみてください。
効果的な熱中症対策とは?
体を暑さに慣らすための暑熱順化も重要ですが、基本的な「水分補給」や「暑さを避ける」などの熱中症対策も大切なので、改めて確認しておきましょう。
①こまめな水分補給
暑い日は体から水分を失いやすくなります。こまめな水分補給を心がけることが重要ですが、ポイントは「喉が渇いていなくてもこまめに水分を補給する」ことです。また、運動する場合は必ず「運動前」に水分補給を行いましょう。
水分補給の目安は1回200〜250mlです。ですが、どのくらい自分が飲んだかわからない場合が多いのではないでしょうか。
そのような時は「1回9口」を目安として覚えておくと良いでしょう。
人の1回の嚥下量は20〜30mlとされているので、9口飲むと大体ちょうど良い量の水分補給をすることができます。
また、気温や湿度が非常に高い環境下でスポーツをする場合に「アイススラリー」という方法が取り入れられています。
アイススラリーとは体の熱を体内から冷やす「内部冷却」の方法の1つです。水に微小な氷がシャーベット状に混ざった冷たい飲み物を飲むことで氷が水に溶ける際に、体内の熱を多く吸収することができます。
スポーツ飲料などでアイススラリーを作ると、塩分やビタミンなどの補給も同時に行うことができるので東京オリンピック・パラリンピック競技大会でもこの方法が取り入れられました。
しかし、アイススラリーをすることでお腹が痛くなったり、トイレが近くなったりする場合もあるので、自分の体調に合うかどうかを考え取り入れるかどうか判断しましょう。
②暑さを避ける
熱中症を予防するためには、根本的な原因である暑さをできるだけ避けるようにしましょう。最近では室内でも熱中症になるリスクが高まってきているので、扇風機やエアコンで温度をこまめに調節してください。
また、遮光カーテンやすだれなどを利用して直射日光を避けることで室内の温度の上昇を防ぐことができます。
外出の際は、帽子や日傘を着用しましょう。日傘を持つことで、直射日光を避けることができ3〜7℃体感温度が下がるとされています。
以前は「日傘は女性のもの」という固定概念を多くの人が持っていましたが、最近は男性も日傘を持つ人が増えてきています。
メンズ用の日傘の需要は年々高まってきていて売り上げは2022年には約5倍になり、2023年には2022年の倍を超える勢いで伸びています。
③職場でのスペース確保
職場は一か所に人が密集するため、人からの熱気によって室温が上昇しやすくなります。暑さを防ぐには、人が密集しないよう一定の距離を保つ必要があります。
事務所衛生基準規則ではオフィスの一人当たりの面積を10立方メートルと定められているので、必要なスペースを確保してから作業するよう心がけましょう。
熱中症の応急処置
しっかり対策をしていても、猛烈な暑さの中では熱中症になってしまうことや、誰かが熱中症になってしまう場合もあります。
救急車や病院など専門的な医療機関にかかることはもちろんですが、すぐに対応してもらえないことがほとんどです。
そのためにも、まずは現場で応急処置をする必要があるので知識を身につけておくことも重要です。
①涼しい場所へ移動する
まず、クーラーが効いた室内や車内に移動しましょう。
もしすぐに涼しい場所に移動できない場合は、日陰や風通しの良い場所に移動し直射日光を避けるようにしましょう。
②体を冷やす
氷枕や保冷剤で両側の首筋、脇の下、足の付け根を冷やします。
もし氷がない場合は、水で濡らしたタオルで代用することや体に水をかけてうちわやセンスで仰ぐことで体を冷やすなど、現場の状況に応じてできることをしましょう。
③塩分や水分を補給する
塩分や水分を補給できる状況であれば、スポーツドリンクや経口補水液を摂取しましょう。
ですが、嘔吐の症状や意識がない場合に無理に飲ませてしまうと、誤って水分が軌道に入ってしまうリスクがあるのでやめましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
残念なことに温暖化のリスクは年々高まってきていて、私たちの日々の生活の中でもしっかりと対策をしなくてはいけない状況になっています。
地球温暖化のために根本的な問題を解決することも重要ですが、目の前のリスクと向き合っていくことも大切です。
ぜひ暑熱対策を行い、熱中症のリスクを減らしていきましょう。