お知らせ
脱炭素宣言とは
2025/05/27
はじめに
ここ数年、私たちの暮らしの中でも「気候の異変」を感じる機会が増えてきました。真夏のような春の陽気、大雨による浸水、極端な寒暖差など…こうした現象の背景にあるのが、地球温暖化による気候変動です。
その対策として世界中で注目されているのが「脱炭素」。
特に近年では「脱炭素宣言」という言葉を耳にすることが増えましたが、実際には「どんなこと?」「会社でどうすればいいの?」と感じている方も多いはずです。
本記事では、「脱炭素宣言」の意味や背景となる国際動向、日本企業が取り組む意義、そして小さな企業でも実践できる取り組みについて今日はお話しをしていきます。
脱炭素宣言とは何か?
「脱炭素」とは、地球温暖化の主な原因であるCO₂(二酸化炭素)などの温室効果ガスの排出を実質ゼロにしようという取り組みです。そして「脱炭素宣言」は、企業・自治体・団体などが「自らの排出を削減する」と社会に表明すること。これは単なる意思表示ではなく、「気候変動対策の一翼を担う」という姿勢を明確にする、大切なメッセージでもあります。
たとえば、自社の電力使用量を見直したり、紙の使用を減らすなど、具体的なアクションを「宣言」という形で発信し、持続可能な社会の一員としての責任を示すのです。
脱炭素が叫ばれるようになった背景 ~パリ協定とその前後~
この「脱炭素」という概念が国際的に本格化したのは、2015年に採択されたパリ協定が大きな転機でした。パリ協定は、産業革命前からの地球の平均気温の上昇を「1.5℃以内に抑える」ことを目標にした、地球規模の取り組みです。それまでの「京都議定書」では一部の先進国にのみ削減義務がありましたが、パリ協定では全ての国が目標設定・実施の責任を持つという点で、画期的な合意となりました。
日本もこの流れを受けて、2020年10月に「2050年カーボンニュートラル宣言」を発表。これを機に、多くの自治体や企業が「脱炭素宣言」を行うようになりました。
なぜ今、企業に脱炭素宣言が求められるのか?
地球規模の話に聞こえるかもしれませんが、実は企業の経営や将来にとっても「脱炭素」は無関係ではありません。以下のような背景があります:- ビジネスリスクの増大:異常気象や災害が事業活動を脅かす可能性がある
- 取引先からの要求:大手企業は脱炭素に積極的なサプライヤーを選ぶ傾向に
- 消費者意識の変化:「環境に配慮した企業から買いたい」という声が増加
- 投資家からの評価:ESG投資が広がり、環境への取り組みが企業価値に直結
- 政策・規制の変化:炭素税や再エネ義務など、ルールも変わりつつある
脱炭素宣言を始めるステップ
では、どのようにして「脱炭素宣言」を進めれば良いのでしょうか?基本の流れは次の5つです。1.現状を把握する
まずは、自社で使っているエネルギーや資源、排出しているCO₂の量を知ることから始めましょう。光熱費の明細や業務の流れを見直すだけでも多くの気づきがあります。2.目標を設定する
たとえば「3年後までに電力使用を10%削減」「2025年までに再エネ導入率を30%に」など、数値と期限を明確に。3.体制を整える
経営層の理解とともに、社内で担当者やチームを作り、社員にも丁寧に説明。トップダウンとボトムアップを組み合わせるのが理想です。4.宣言・発信する
会社のホームページや、商工会議所・自治体の「脱炭素宣言制度」を通じて社外にも伝えましょう。信頼性の向上にもつながります。5.実行・報告・見直し
宣言は「始まり」。定期的な報告と、取り組みの見直し(PDCAサイクル)が成果を継続させる鍵となります。小さな会社でもできる脱炭素アクション
「うちは中小企業だから…」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、脱炭素は規模に関係なく取り組めます。たとえば:- 事務所の照明をLEDに交換
- エアコンの温度設定を見直す
- ペーパーレス会議を導入
- 営業車両のエコドライブを推進
- 通勤の自転車通勤を奨励
- 地域の補助金や再エネサービスを活用
脱炭素の取り組みがもたらす“プラスの効果”
脱炭素の取り組みは、環境のためだけではありません。企業にとっても多くのメリットがあります。- コスト削減:省エネによって電気代や燃料費が抑えられる
- ブランディング効果:「環境に配慮する企業」として信頼性が向上
- 採用力の向上:若い世代は「社会的意義」を重視して職場を選ぶ傾向が強い
- 社内の意識改革:社員同士でエコ活動を共有することで一体感が生まれる
カーボンニュートラルだけでなくグリーン成長戦略
日本は、2020年10月に2050年カーボンニュートラルを目指すことを宣言しました。2050年カーボンニュートラルの実現は、並大抵の努力では実現できず、エネルギー・産業部門の構造転換、大胆な投資によるイノベーションの創出といった取組を、大きく加速することが必要です。
これを踏まえ、経済産業省が中心となり、関係省庁と連携して「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を策定しています。
グリーン成長戦略では、産業政策・エネルギー政策の両面から、成長が期待される14の重要分野について実行計画を策定し、国として高い目標を掲げ、可能な限り、具体的な見通しを示しております。また、こうした目標の実現を目指す企業の前向きな挑戦を後押しするため、あらゆる政策を総動員しています。(引用:経済産業省)
カーボンニュートラルの取り組みを通して企業の負荷価値を高めるだけでなく、私たちひとりひとりの生活に安心安全な暮らしを提供するための小さな積み重ねでもあります。すべてのことが関わり合いながら暮らしていることを実感せずにはいられません。
コロナ禍を経てEC事業は急速に拡大し、それに伴い輸送コストの増加や物流量の増大が課題となっています。その結果、排気ガスによる環境負荷が高まるだけでなく、商品を梱包するための箱などの資材生産においても、必ずしも自然環境にやさしいとは言えない現状があります。
つまり、私たちの手元に商品が届くまでの過程には、多くの「エコではない」要素が存在しているのです。
まとめ
脱炭素宣言は、単なるスローガンではありません。それは、私たち一人ひとりの暮らし、そしてこの地球の未来を守るために企業が果たすべき責任を明確に示すものです。今、どのような選択をするのか。何から始めるのか。その一歩一歩が、企業の信頼や社会的な評価、そして持続可能な成長の土台となります。
取り組みは決して大がかりなものである必要はありません。
まずは社内で「私たちにできることは何か?」という問いを共有し、小さな実践から始めることが大切です。 社員一人ひとりの気づきが、やがて社内文化となり、組織全体の意識変革へとつながっていきます。やがてそれは、取引先や地域社会、お客様にも良い影響を広げていくのではないでしょうか?
未来を守るための変化は、今この瞬間から生まれます。
私たちの世代で、自然破壊を止め、持続可能な社会への第一歩を踏み出しましょう。