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なぜ、企業は省エネ対策に取り組まなければならないのか?

2021/04/10

現在の私たちの暮らしや社会は、エネルギーの消費によって成り立っています。
日常生活に欠かすことのできない電気、ガス、水道はもちろん、現代社会の基礎になっている運輸、通信などもすべてエネルギーを利用しています。さらに、食料品、衣料品など、あらゆる製品はその生産や流通の過程においてエネルギーを利用しています。

石油や石炭、天然ガスなど、限りあるエネルギー資源がなくなってしまうことを防ぐため、省エネを心がける必要があります。省エネとは、「省エネルギー」の略で、エネルギーを効率よく使うことにより、エネルギーの使用量を減らすことです。これは全世界共通問題で個人・企業問わずに大きな課題のひとつです。

「何故ここまで省エネが言われるようになってきたのか?」

理由は、企業におけるエネルギー消費が省エネの大きな鍵を握っているからです。企業における省エネの目的は主に、「コスト削減」「エネルギー資源の有効利用」「地球温暖化防止」「法令遵守」の4つになります。法律により企業に対して様々な規制がかけられ、省エネ制度への取り組みが強く推し進められています。

当記事では、改めて企業が省エネに取り組む必要性を考えたいと思います。


省エネの背景




日本では、1973年の第一次石油ショック後、「省エネ」が少しずつ問題定義されていきました。さらに1979年に「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」が施行されたことで「省エネ法」として広く認知されるようになり、その流れとともに企業に対して様々な規制がかけられ、強く推し進められた結果、世界でトップクラスの省エネを達成してきました。
さらには2011年に発生した東北の地震による原子力発電所の停止で大きなターニングポイントを迎えました。
原子力発電所が一斉に停止されたことにより、日本の発電所においては、代替として火力発電が使われるようになりましたが、火力発電は、石油などの燃料を燃やした熱の力を使って発電が行われる方式ですので、燃料を燃やしたことによって発生する二酸化炭素の量が日本において急激に増加しました。
この二酸化炭素の増加が、全世界共通の問題に直結しているため、さらに省エネ対策が加速してきたのです。
その全世界共通問題とは、地球温暖化のことです。



地球温暖化について




地球温暖化とは、大気中にある二酸化炭素(CO2)やメタン、フロンなどの温室効果ガスが増え過ぎ、宇宙に逃げようとしていた熱が地表にたまりすぎることで、気温が上昇したり、地球全体の気候が変化することです。二酸化炭素の排出が急激に増え始めたのは、18世紀の産業革命以降のこと。石炭や石油などの化石燃料を燃やし、たくさんのエネルギーを得るようになった結果、大気中の二酸化炭素が急速に増加し地球温暖化を引き起こす、主な原因と考えられています。地球の平均気温が変化することにより、さまざまな変化や影響が生じることが懸念されています。


現在までに、世界の平均気温は産業革命前よりもすでに1度上昇しています。それが原因で世界各地では、異常気象による河川の氾濫や土砂災害などが多発し、すでに自然環境や人の暮らしに、そのさまざまな影響や被害が現れ始めています。このままなにも対策をせず活動を続けた場合には、21世紀末に4.8℃の気温上昇が予測されいます。その結果として、取り返しのつかない影響がもたらされると予測されます。こうした影響を防ぐため、これまで世界各国による国際交渉が進められ、2015年に「パリ協定」が採択されました。産業革命からの平均気温の上昇を2度未満に保ちつつ、1.5度に抑える努力を追求することを、世界の目標として定めたものです。
このパリ協定の枠組みを受けて日本では、中期目標として、2030年度の温室効果ガスの排出を2013年度の水準から26%削減することが目標として定められました。そのためにさまざまな政策が実施され、省エネが加速浸透してきました。


エネルギー資源の有効利用




日本にとって、重要なエネルギー源の一つとして日常生活の維持には欠かせない石油や天然ガスですが、もともと、日本は石油や天然ガスなどの資源に乏しい国です。
日本は世界第4位のエネルギー消費国でありながら、エネルギー自給率はたった12%で他のOECD諸国と比較しても低い水準となっています。当然、石油を使う量が増えると、それだけ石油を買わなければいけません。石油をほぼ全て海外から輸入して、買ってくることで賄っているのが事実で、この額は約7.3兆円にも及びます。また、電気エネルギーを発電するのに使用するのは、ガスなども使いますが、これもまた輸入に頼っていて、約6兆円です。資源は無限ではありませんので、現在のペースで使い続ければ、21世紀中には枯渇の危機を迎えるという予測が大勢を占めます。そこでエネルギー資源の有効利用が推奨されてきています。エネルギー資源の有効利用は石油や天然ガスなど有限な資源とは違い、太陽光発電や風力発電、水力発電など繰り返し利用でき、短時間で再生するのが特徴です。節電や再生可能エネルギーへの関心が高まっており、上記の他にもバイオマス、地熱などの発電所を運営する企業は増加傾向にあります。このことは、地球温暖化への対策にかなり有効ですし、海外へ流れていくだけのこのお金を、日本に留めておくことができ経済的なメリットにもつながります。すでにドイツ国内では、再生可能エネルギーでの発電を80%にする計画を立てて、既に40%は自給可能となっていてます。



コスト削減




コスト削減とは、主に会社の事業運営のために使用する経費を削ることですが、経費削減やコストカット、合理化と呼ばれることもあります。会社の利益を上げるには、売上を増やすことと経費を削減することが欠かせません。




この省エネは、コスト削減につながります。
ひとくちに省エネによるコスト削減と行ってもリスク回避、利益創出のための省エネと2つの意味が含まれています。
原発稼働の問題、資源の問題などでピーク時などには計画停電が発生する可能性や光熱費の値上げなど企業の経営にとって大きなリスクとなっているのが、このエネルギー問題です。2つ目が利益創出です。省エネでエネルギーコストを削減できれば、それはそのまま利益に直結します。人件費カットによるコスト削減は企業の体力を弱めますが、省エネは生産性を高め、経営体質を強化することにつながります。利益が上がればその分事業への投資、従業員の給料、福利厚生の充実にあてる金額も増やすことも可能になりますし、このコスト削減が少しでも社員の利益につながることが分かれば、会社全体の士気も高まり、社員のモチベーション向上にも役立ちます。
社内の環境が良くなるこで、直接的、間接的に利害関係者となる顧客、消費者、株主などのステークホルダーからの信頼も大幅にアップすることになるでしょう。


法令遵守




「エネルギーの使用の合理化等に関する法律(省エネ法)」は、石油危機を契機として昭和54年に制定された法律であり、工場・事業所のエネルギー管理の仕組みや、自動車の燃費基準や電気機器などの省エネ基準におけるトップランナー制度、需要家の電力ピーク対策、運輸・建築分野での省エネ対策などを定めてあります。簡単に言うと、工場や建築物、機械・器具についての省エネ化を進め、効率的に使用するための法律です。この省エネ法が直接規制する事業分野は、「工場等(工場・事務所その他の事業場)」、「輸送」、「住宅・建築物」、「機械器具等(エネルギー消費機器等または熱損失防止建築材料)」4つとなります。省エネ法の最大の目的は、国民経済の健全な発展に寄与することを前提に施行・改正されています。この省エネ法にそって、企業がルールに従って公正・公平に業務を遂行しましょうという法令遵守を指します。



ただこの“法令”という言葉にしばしば惑わされがちなのですが、実はこの法令が指すものは法律だけではありません。


・行政で決められた法律や条例など、法としての拘束力のある規則社内規範


・社内で決められたルールや業務マニュアルなどの規則倫理規範


・職務上守らねばいけない企業倫理や人として守らねばいけない社会的な倫理など幅広いルールをすべて法令遵守と呼びます。



最近は、省エネ法の規制対象事業者等以外でも環境保護意識の高まりやSDGs(持続可能な開発目標)の浸透によって、業界や企業における省エネに注目が集まるようになり、省エネを法令遵守の第一として設ける企業が増えてきています。このように企業が省エネに取り組むことは、同時に高いメリットを得ることにもつながります。その実績が投資家や顧客、取引先の反応を左右する評価指標になったり、省エネに対する適応策と緩和策踏が新ビジネスにつながることもあります。また国や自治体が、省エネについての中小企業の取り組みを支援するため、様々な制度を設けています。



企業におけるエネルギー消費がいかに省エネにおける大きな鍵を握っていることが理解いただけたと思います。


運営会社情報

株式会社新出光ファシリティーズ
URL:https://if.idex.co.jp/
【事業コンセプト】
「新エネルギー・省エネ・スマートエネルギー」関連事業について、
調査・計画・シミュレーション・設計・施工・メンテナンスまでの一貫したサービスを、
お客様や各種メーカー様の立場になって、責任を持って提供いたします。